
ステルス機F-22やF-35の弾薬搭載量が限られていることから、電子戦能力を強化して残存性を増したB-52に、多様な弾薬を搭載可能な改修を施し、最新データリンクや通信機能を搭載させ、 第5世代機や他機が集めた敵情報を生かして、多数の敵攻撃機に対処しようとのコンセプトの模様です
カーター長官が副長官当時の2012年に設立した、迅速な装備化を狙いとした特別チーム「SCO:Strategic Capabilities Office」が担当する「Arsenal Plane」構想だそうなので、10年も時間をかけるつもりはないようです
まずカーター長官の予算案説明時の関連発言

●既存システムや民間技術を組み合わせて「game-changingな能力」を、10年とか15年ではない短期間で迅速に獲得するSCOチームが「Arsenal Plane」を担う。
●旧式の航空機の一つを利用し、「flying launchpad:空飛ぶ発射台」として機能するよう改修し、全ての多様な既存兵器を発射・投下可能にして攻撃力を増強する(明確にB-52とは言及していない)
お馴染みRichard Aboulafia氏の解説
●B-52は、ステルス機ではないが輸送機に比較すればレーダー反射率は低く、突破型爆撃機ではないが敵防空網に対処する電子戦装備を現在でも備えている
●通信装置の改修も始まっており、多様な弾薬を搭載可能にする改修も始まっている。B-52は既に軍用機として存在し、基礎的能力を備えている

●中国などは米軍より多くの機数の戦闘機等を揃える傾向があり、米軍は数少ない航空機でも「Arsenal Plane」のような技術で優位を確保する戦略を採っている
●数で勝る敵に、限られた搭載量の少ない航空機で対処しなければならず、この数に対する懸念や航続距離に関する懸念がある。ハイテクで敵の数に対処するのが米国防省戦略の鍵の一つである
●また併せて、有人機と無人機の編隊運用についても研究や実験を進めている
現在進行中のB-52改修施策

●現在現役のB-52は76機で、デジタルデータリンク、moving-map displays、次世代アビオ、新通信装置、兵器搭載量増強施策等々が行われつつある。機体構造は強固であり、2040年代以降も使用可能と見積もられている
●IWBU(1760 Internal Weapons Bay Upgrade)では、機内爆弾装を改修し、8発の最新Jシリーズ誘導兵器(JDAM、JASSM、JASSM-ER、MALD、MALD-J等)を搭載可能にするが、2017年までにJDAM使用を可能にし、2022年までに他の全てを搭載可能にする計画。従来は翼下に6発搭載のみが可能だった

●「ARC 210 Warrior software-programmable」も、地上指揮所や他機とのコミュニケーション能力向上に資する装備である
●「Intelligence Broadcast Receiver」は、Link-16の様な高速データリンクを活用し、ISR情報や目標照準データを迅速に入手するための装備導入も進めている
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まだまだ今後関連情報が明らかになるでしょうから、ちまちまフォローしたいと思います
カーター長官が初めて説明Arsenal Plane
「2017年度予算案説明会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03
「5世代機がセンサー、無人機が弾薬発射」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28
B-52関連の過去記事
「もっと能力向上を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-11-1
「海軍と会議後アジア展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-07
「まだまだ能力向上に投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-16-1
「海上目標攻撃訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-21
「B-52末っ子が50歳に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-30
「ベテランはあと30年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-06
「50歳B-52は80歳まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-21