
なお、ここでいう米国の予算年度とは、2015年度の場合は「2014年10月1日~2015年9月30日」を指します
事故増減の背景まで細かく突っ込んだ分析はありませんが、小さなとこからコツコツと精神で、2013年度の統計も一部含めてご紹介します。
7日付米空軍web記事等によれば
(13年度の数字は昨年1月号米空軍協会機関誌記事より)
各数値の記載は「2013年度→2014年度→2015年度」の順
なお数値は「Class A」事故(大事故:死者あり又は被害額2.4億円以上)を指し、事故数総計には飛行中事故、飛行関連事故、航空機地上作業事故、無人機事故が含まれている
●事故数総計 35→24→35
●うち飛行中事故 19→7→19
●うち無人機事故数 12→16(2014年度→2015年度の順)
●10万飛行時間当たりの事故数 1.13→0.44→1.12
(2014年末時点で過去10年の平均値は1.09)
米空軍協会機関誌記事など分析

●予算の強制削減の影響で、2014年度(2013年10月1日~2014年9月30日)は米空軍全体で飛行時間が減少したため「事故数総数」が減少したとも解釈できるが、事故率自体も大幅に減少している点は注目に値する
●現在の米空軍は、空軍史上最も「高齢」の装備品(平均26.2年間使用:2014年末時点)を使用している米空軍だが、米空軍の「chief of safety」は、維持整備に万全を期しており、装備の高齢化と事故との関連性は否定している
●一方でWeish空軍参謀総長は、B-1爆撃機の燃料系の火災や、F-16戦闘機のキャノピー破損で半数の同戦闘機が飛行停止になった事例を挙げ、「アセット老朽化」を訴えている
●他軍種の「10万飛行時間当たりの事故数」は、2014年度の統計で、米陸軍が1.49(飛行時間の大半はヘリによる)、米海軍は1.69(過去10年平均:0.88)、米海兵隊1.94(過去10年平均:2.09)である
///////////////////////////////////////////////////

恐らく航空自衛隊は米空軍より事故率は低いと思いますし、米空軍の事故率は全世界で実戦も含めた飛行が多いので、主要な空軍国よりは事故率は高いと思います
米空軍の「chief of safety」であるAndrew Mueller少将がコメントしているように、「大きな視点で数値のトレンドを見ることが重要で、毎年の変化だけに注目すべきではない」との俯瞰的視点が必要でしょう
もちろん「Class A」レベルの事故ともなれば、詳細で分厚い事故報告書が作成され、事故原因と対策が示されるのでしょうが・・・
飛行事故関連の事故
「ロシア空軍事故続発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-15
「米空軍事故増加警戒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-05