
なんだかんだ言ってもNATOのメンバーであるトルコが、現有の西側システムと相互運用性が無く連接も困難な中国システムを導入するとなると、いろんな面で「激震」が走りそうな気がします
アンカラ発23日付Defense-Newsは・・・

●また、「選定作業は最終的に国防相とエルドアン首相の承認を得るだけの段階に至っており、首相が議長を務める次回の国防産業首脳委員会で最終決定され、公表される。具体的日程は未定だが・・」とも述べた。
●トルコは約4000億円の「T-Loramids」と呼ばれる本計画を、当初は「既製品」購入想定して4つの提案を比較検討していたが、1月にエルドアン首相の指示が出て「技術移転を可能とする共同生産方式」の可能性も追求することとなった
●選定に応募していたのは以下の4グループで、レーダーと発射機とミサイルのセットで応募している
--- RaytheonとLockheed Martinのパトリオット
--- ロシアRosoboronexportのS-300
--- China Precision Machinery Export-Import Corp.のHQ-9
--- Italian-French consortium EurosamのSAMP/T Aster 30

●西側軍事産業筋は「米国当局者は、相互運用性の確保が困難になることから、ロシア製や中国製システムの導入に対して複数回警告を発してきた。しかしトルコは頑なで反抗的なままな様だ。仮にロシア製を導入しても問題だが、中国製ははるかに米国にとって国防上の脅威だ」と語った
●トルコが現有の防空ネットワークは、約半分がNATO資金で提供されたものであり、NATO Air Defense Ground Environmentの一部をなすものであるとトルコ関係者も認めている

●また、NATO諸国が使用しているIFF(敵味方識別装置)を中国製システムに搭載するなど不可能であり、逆にトルコ所有のF-16に中国製識別装置を搭載することも考えにくい。多くの側面で中国との共同生産は多くの問題を引き起こす
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中国製のHQ-9は、ロシアのS-300を基礎として開発され、誘導装置に米国パトリオットの技術を活用しているのではと噂されている防空ミサイルシステムで、中国の主要都市や沿岸部に配備され米国が警戒するA2ADを構成する高性能ミサイルシステムです

対シリアのこともあり、米国やNATOとは仲良くしておいた方が良いような気がしますが・・・。トルコ国内に拡散傾向のデモもあり、対外的なもめ事は避けるのが懸命なタイミングだと思うのですが。
米国は兵器の国内市場が縮小傾向の中、同盟国の能力向上や同盟国との相互運用性強化を口実に、米国製兵器の売り込みに必死ですから、トルコ側に強引な交渉を行ったのかもしれません
トルコは米国の態度への反抗心を示すため、あえて中国製をちらつかせ、譲歩を引き出そうとしているのかもしれません。
トルコはF-35納入予定国の仲間でもあり、日本に友好的な国ですから、大いにその姿勢を注視し、学びたいと思います。
トルコには、対シリア用にNATOの防空ミサイル部隊が展開中なのに・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16
トルコとF-35
F-35初号機契約を延期したトルコ高官の話。「暗闇に中で独りぼっちになりたくなかった」、「他の懐疑的な国々と歩調を合わせる方がより安全だと考えた」と。共同開発国全滅の図がここに・・→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19