
残念ながら、これまた紆余曲折を経て同文書は最終的に「非公開:Official Use Only」指定され細部は不明ですが、ドラフト版への意見を踏まえ、最終版の提案要求書RFPは今年後半(6月か7月)に正式提示される予定です
17日付米海軍協会web記事によれば

●対象となる4企業とは、General Atomics Aeronautical Systems、Boeing、Lockheed Martin、Northrop Grummanである。
●海軍航空システムコマンドのMat Winter少将は先週の海軍協会総会で、「主要な要求項目は昨年4月から変化していない」と主張していた
●一方で、2020年に運用開始するという極端に野心的な開発・試験スケジュールの中で、運用開始の段階まで、どのような形に仕上がるか判らないとの見方もある
要求概要について同少将は

●軽易な攻撃能力(light strike capability)を保有すること
●最新の技術を取り入れて能力向上が容易に出来るよう、「open architecture design」の思想に基づくこと
別の海軍協会web記事では更に
●空中給油を受けられ、かつ空中給油機として他機に給油を行えること
●8日Winter少将は「海軍指導部からは、将来多額の費用をかけずにUCLASSを改修発展可能にすべきと命じられている。海軍が空母での無人機運用に習熟する中で、新たな要求が出てきた際に対応できることが求められている。まだ海軍はUCLASSをどのように運用するかを知らないのだ」と語っている
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私は昨年夏まで思ってました・・・
●中国による弾道/巡航ミサイルを生き延びた空母艦載のステルス無人機は、強固な防空網で守られた中国A2AD地域に深く侵入し、そのセンサーでISRを行い、自ら搭載した兵器でピンポイント攻撃を行うものだと・・・
●また当該ISR目標情報は、友軍艦艇や潜水艦とも共有されて巡航ミサイルを導き、またエアシーバトル構想に基づき米空軍機と共有された情報が次期爆撃機LRS-BやB-2を目標に導き、長距離ミサイルJASSMやLRASMに目標情報をインプットするのだろうと・・
●米軍は、緒戦で中国の大規模ミサイル攻撃を受け被害を受けると予期しつつも、空母艦載のステルス無人機を「反転攻勢の鍵」の一つとして構想し、要求性能を固めるのだろうと・・・
しかしUCLASSの現実は・・
●強固な防空網を備えたA2AD環境での運用は期待しない
●連続哨戒をイメージし、軽易な攻撃能力(light strike capability)のみを保有
●空中給油機として他機に給油を行えること
私の「夢想」が過ぎたのか? いや

なぜなのか? もちろん強制削減の影響や不透明感は大きな原因でしょう。中東や南西アジアやアフリカで、依然として対テロの任務要請が多いこともあるでしょう。MQ-1やMQ-9に代わる、空母発進の対テロ作戦機が必要なのでしょう
でもそれだけじゃないと思います。まずF-35調達機数の維持、そして有人空母艦載機族の組織防衛が「根深い」背景にあると考えるべきでしょう
米海軍の「NIFC-CA構想」なる航空作戦構想では、F-35がISRセンサーとして最前線、FA-18が攻撃兵器の発射母機、E-2Dが空中統制やデータ電送機、そしてUCLASSは空中給油機扱いでしたから・・・
早くも米軍や東アジア安保環境を考える頭が「5月病」になりそうです・・・
理解不能な米海軍航空作戦構想
「米海軍の航空作戦構想NIFC-CA」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
関連の過去記事
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21
もう一度原点に返って考えよう
「脅威の変化を考えよう」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08