
米軍側とすれば、特定の削減案が認められなければ、その代替となる削減案はこうなって、それは原案よりリスクが大きい・・となります。そんな議論の一端を、約320機のA-10全廃を例にご紹介します
ちなみに、ウェルシュ空軍参謀総長がA-10操縦者(最初の機種:81年から88年)であることや、反対しているAyotte上院議員の旦那が現役A-10操縦者であることなど、何かとマスコミが騒ぎそうな「話題」も絡み、この米空軍の決定は注目を集めています
また沿岸戦闘艦LCSの調達隻数削減(52→32隻)を受け、その代替案を検討するチームが立ち上がった件も併せてご紹介します
A-10全廃の代替となる削減案は・・・

●同参謀総長はこれに対し「作戦面で最もリスクの少ない選択がA-10全廃である」、「我々はB-1全廃、F-16やF-15Eの削減、F-35の調達数再考、他の航空機の運用態勢低下等の選択肢を比較検討した結果、この結論に至った」と答えた
●18日、米空軍の作戦計画部長であるJames Jones少将も「追加の予算無く、A-10以外の予算削減オプションを求められたら、空軍がよりリスクが高いと考えているB-1全廃やF-16を350機削減する案を提示しなければならなくなる」と記者団に語った。

●空軍参謀総長も「A-10が引退しても、F-35が完全に任務遂行可能になるまでの間は、F-16が大部分のCAS任務を引き受けるだろう」と説明している
●一方で、A-10全廃案を支持する議員達も存在する。同軍事委員会の有力メンバーであるAdam Smith議員(民主党)は「空軍の選択は厳しいものだが穏当でもある。将来に備え、新しくベターな航空機への投資を望んだのだ。もし我々が空軍に対し、世界の如何なる脅威にも対応しうるよう望むのであれば、より新しい機体が必要だろう」と語っている
LCS後継検討は文民がリーダー

●海軍トップの指示によると、リーダーは海兵隊システムコマンドの上級部長であるJohn Burrow氏で、経歴からはLCSとの関連は読み取れない。これまでは海兵隊の地上システム調達に関与してきた人物の模様
●他のメンバーは、海軍司令部作戦部と海軍システムコマンドの大佐6名と中佐1名と文民1名となっている。海軍の水上艦隊コマンドから選出されなかったのは異例である
●同チームは、まず3月末までに検討スケジュールを作成するよう命じられており、また現LCSと現LCSと入れ替わりに退役する「Oliver Hazard Perry FFG 7-class frigates」との詳細な能力性能比較を行うよう命ぜられている
●なおFFG7フリゲート艦は、現在10隻程度が現役だが、2015年末には全艦が退役する予定となっている。
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A-10全廃案提出との重なりは偶然だと思いますが、当該機種に関係した人が先頭に立つことで、話を納め易くなることは確かでしょう
航空自衛隊の戦闘機削減も、戦闘機操縦者以外が持ち出すことは不可能でしょう。戦闘機パイロットが言い出さないと・・・
LCSの代替案検討リーダーを文民が勤め、水上艦艇コマンド幹部が除外されている状況をどう見るべきでしょうか?
現場と近かったり、しがらみの強い軍人や現場幹部では冷静な判断が出来ないと見なされたのでしょうか・・・。今後の「Task Force」の動きにも注目です
予算関連の軍の関連動向
「長官の2015年度予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-24
「検討指示:LCSの補強や代替案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-11
「予算削減で空軍トップが議会に要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-10