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第16回アジア安全保障会議(2017年シャングリラダイアログ)特集

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米国の姿勢を象徴!?:マティス国防長官はわずか30分
気力があれば、追記していきます・・・

IISS Shang.jpg6月2日夕刻から4日午後まで、今年も恒例の第16回アジア安全保障会議(2017年シャングリラダイアログ)が、シンガポールのシャングリラホテルで開催されます
会議の開始は2日(金)の夕食会からで、基調講演を豪州首相が行いますが、2日(金)は昼頃から、各国大臣クラスによる「バイ会談」が複数セットされるのが通例です。

同会議は、英国の民間研究機関IISSが主催する非公式の会議ですが、アジア太平洋のほぼ全てと、欧州主要国の国防大臣が一堂に会する点で、「アジア最大の安全保障イベント」と考えられていました。

IISS Shang3.jpgしかし今年は寂しいです。国防大臣の参加は、米国、日本、豪州、フランス、シンガポール、カナダ、インドネシア、フィリピンだけで、ロシアは副大臣で、韓国に至っては研究機関の退役少将だけです

最近数年参加が目立った欧州から少ないのは、対テロや移民対策でそれどころではない、トランプ政権とは距離を置きたい・・・などの様々でしょうが、英国が軍人だけなのは象徴的です

また、矢面に立つことが明らかな中国側の参加者は、ここ最近は中国軍の国際問題担当の副参謀総長レベル(大将)でしたが、今年は軍事科学大学の副学長(中将)がトップで、研究者的な少将とか上級大佐がプログラムに上がっているだけです。


Mattis11.jpgなんと言っても今年の注目はトランプ政権発足以来、ほとんど実質的にアジア太平洋政策について発信が無いトランプ政権が、マティス国防長官を会議に派遣して何を語らせるかです。

注目のマティス国防長官は、3日(土)のトップバッターとして午前9時(日本時間10時)からのセッション「米国とアジア政策」でスピーチし、その後会場からの質問を受けます

ついでに、今回はダンフォード統合参謀本部議長も会議に参加する事になっており、参加体制の上では最大級の配慮をしていますから、なおさら注目です。ちなみに同議長は、同会合での登壇はありませんが、31日に米国を発ち、日本を経由して同会議に参加してバイの会談を複数行い(推定)、その後に豪州訪問予定となっています


しかし・・・プログラムを見てびっくり!
Mattis44.jpgしかしプログラムを見てビックリ!!! メインイベントのマティス長官の時間割り当てが「僅か30分」です。私の知る限り過去7年間、しっかり1時間セットされ、45分程度のスピーチと15分の質疑だったのが半減です。

しかも休憩や予備時間なしで、9時30分から同じ会場で、稲田大臣と豪と仏の国防大臣が11時まで「ルールに基づく地域秩序」をテーマに登壇することになっており、延長一切なしの短い米国防長官プレゼン&ト質疑です。

IISSの関連webページでは、マティス長官が「Major Policy Speech」を行うと紹介し、米国防省webサイトは「マティス長官はトランプ政権の当地域政策を述べることを期待されている」と紹介しています。

IISS Shang2.jpgしかしこの時間配分では何も語れません・・・。トランプ政権が誕生して5か月近く・・・何も決まってないから語れない・・・を象徴するような「30分ステージ」です

そういえば、以下のような申し訳程度の米軍によるアジア太平洋関与活動が、取ってつけたように最近続きましたが、やっぱり本会議に向けた目くらましの手土産代わりだったんだ・・・と感じてしまいます


最近の米軍のアジア太平洋関連動向
●5月25日、昨年10月から中断していた「航行の自由作戦」をミサイル巡洋艦「USS Dewey」で再開
●5月27日、朝鮮半島近海で活動中の空母カールビンソンとレーガンに加え、シアトル近郊の海軍基地から空母ニミッツが派遣され、3隻体制をとることが明らかに(6月1日に出航)
●5月31日、数年ぶりに米軍がICBM迎撃ミサイルの試験を行い成功

USS Dewey.jpg5月24日朝、海南島の南西150マイルを飛行中の米海軍P-3Cに対し、中国軍J-10戦闘機が異常接近との事象もありましたが、アジア安全保障会議を前に、突然、朝鮮半島周辺や南シナ海周辺で米軍の活動が活発になってきたとの印象です

半年ぶりの「航行の自由作戦」しかり、異例の空母3隻体制しかり、取って付けたような、つじつま合わせの様な気がしてなりません。

空母3隻に関しては、ニミッツはカールビンソンと元々交代予定でアリ、レーガンは5月下旬に横須賀での定期修理を終えたばかりで、乗員のリフレッシュ訓練を終了するまでは十分な戦力では無いはずです。

相変わらず、米国防省webサイトは対ISISやアフガニスタン関連の記事で溢れ、アジア太平洋関連の最近の話題は、2018年の環太平洋軍事演習RIMPACに今回も中国を招待する計画だとの軍事メディア報道や、岩国展開の海兵隊F-35B部隊が順調に訓練中とのニュースぐらいです

CV  Carl Vinson.jpgマティス長官講演を「Major Policy Speech」とwebサイトであおっていますが、これも商売人チャップマンIISS理事長の演出のような気がしてなりません。
将来では無く、過去にこんな事をやったと羅列し、これまでの施策を継続すると誓い、同盟国の協力を訴える中身が精一杯では無いでしょうか

何せ米軍は疲弊しています中東や欧州への派遣頻度は高止まりで、装備品の修理費もママならず、空軍パイロットは危機的に不足状況でアリ、アジア太平洋地域に画期的な政策を打ち出す余裕はありません

GBI-KV.jpgおまけに、フィリピンやタイやベトナムや韓国の米国との協力姿勢は冷ややかで、中国や北朝鮮対応に妙案は無いでしょう。

そんな中、トランプ政権のアジア太平洋への姿勢を問われる会議が開催されるわけであり、直前に駆け込み行動「3本立」を詰め込んだ感が立ちこめています。

マティス長官の講演や関連の動きについては、追記しようと思いますが、過去7年間フォローしてきて、最近の新味の無さに飽きが来ていますので、いい加減・・・な感じが予期されます

日本関係者の登場
日本のNSCの山田さんが「アジア太平洋における核の危険」セッションに、統合幕僚副長の住田陸将が「海上紛争を防止する政治手段」のセッションに、それぞれ中国参加者を含む複数国の関係者と登壇して議論します

2017年のスポンサー企業は2社減
IISS Shang5.jpg●スポンサー企業は、2014年の10社から中華系のメディア資本2社(鳳凰網とフェニックスTV)が撤退し、2015年には8社に。
●2016年は米空軍の次期爆撃機を受注して活き上がる「Northrop Grumman」が加わり9社体制

●しかし今年は、「Northrop Grumman」と継続してスポンサーだった「三菱商事」が撤退して7社体制
●結果として、日本からは「朝日新聞社」だけがスポンサーになっています。恐らくスポンサー特権でしょうが、朝日新聞の加藤洋一記者は、米国防長官への質問者に毎年指名されています。

スケジュール
https://www.iiss.org/-/media//documents/events/shangri-la%20dialogue/sld%202017/iiss%20shangri-la%20dialogue%202017%20-%20speaker%20agenda.pdf?la=en

IISSの関連webサイト
https://www.iiss.org/en/events/shangri-la-dialogue

シャングリラ会合の過去記事
「2016年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

米国防省のweb記事
https://www.defense.gov/News/Article/Article/1198377/dunford-to-consult-with-us-partners-during-asia-trip/

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