26日付Defense-News記事が、「Defense-News」の見解ではないと注釈を加えつつ、アフガニスタン女性特殊部隊兵士の活躍と、今後の対ISILへの活用の必要性を主張するRAND研究者の見方を取り上げています
特殊部隊というと、ヘリからロープで地上に展開したり、草を体にくっつけ身を隠して敵地奥深くに潜入するイメージを持つ方が多いかも知れませんが、ここで言う女性の特殊部隊兵士は、イスラム文化の中で多国籍軍の男性兵士による接触が難しい、イスラムの女性達と向き合う役割を担う女性兵士です
記事の中では、アフガン軍部隊と米軍特殊部隊の両方の女性兵士を同時に扱っており、中身の区別が難しいのですが、両軍の最前線でその役割の重要性が強く認識されていると紹介されています
26日付Defense-News記事によれば
●アフガンに展開する米軍や多国籍部隊は、特に保守的な地域や地方での活動が求められることが多いことから、アフガンの女性住民との接触が大きな問題となっている。そしてこの問題への対処策の一つとして、米軍や多国籍軍が女性部隊を編制し、女性住民との摩擦を軽減する策も採られてきた。
●ただ、米軍や多国籍軍の女性兵士に必要な文化や言語能力等を付与する十分な時間や手段が無い中、米国防省やNATO内では、これら即席の女性部隊の有効性について議論が続いてきた
●そんな中、アフガン特殊治安部隊の女性部隊は、その有効性が高く評価されている。この女性部隊は、男性が中心の特殊部隊が作戦する周辺で、文化や風習を理解して適切に女性住民と直接接触している。
●アフガン特殊治安部隊は約17000名で構成されているが、女性はわずか80名程度に過ぎない。その大部分は兵站支援任務に就いているが、約20名は前線の戦術小隊や情報部隊に所属し、特殊部隊の効率的任務遂行に貢献している
●例えば男性兵士が住宅を捜索する場合、女性や子供との接触が許されない場合が多いが、女性部隊の兵士はこれが可能で、女性に変装して身を隠す敵の捜索や、女性に対する情報聞き取りは大きな成果を上げている
●これらアフガン女性兵士の重要性は、国際社会やアフガン社会でも一般にはあまり認知されていないが、アフガン政府はこの重要性や有効性を理解しており、問題が持ち上がった地域への派遣が直ぐ議題になるほどである
NATO「gender advisers」の視点
●RANDによる調査では、女性兵士の勤務環境を改善する役割を持つNATOの「gender advisers」からも聞き取り調査を行い、彼ら彼女らからも女性特殊部隊兵士が大成功を収め、地域社会との接触が必要な場面で不可欠な存在になっているとの証言を得ている
●アフガン部隊での女性兵士増強の課題は、女性の募集能力にある。これはアフガン治安機関の募集部署が担当するが、適切な人材の確保はこの部署にかかっている。また女性兵士の生活インフラ、女性への差別やセクハラ問題なども課題で、「gender advisers」がアフガン軍と協力して対応している
●2015年10月、オバマ大統領は米軍特殊部隊をシリアに派遣する命令を出した。対ISIL作戦のためのこの指示は、文化面で異なる米軍男性特殊部隊兵士にとって、人口の半分を占める女性との関係で困難を与えるだろう
●しかし、このアフガンの教訓を活用し、更に米軍の全ての職域が女性兵士に開放されたことも追い風に、文化面や言語能力を備えた女性兵士がアフガン以外でも活躍する機会を得るだろう
●米国防省は、昨年RANDがまとめたレポートで指摘した、文化的保守的エリアでの米軍特殊部隊と女性の協力に関する制度的アプローチを参考にする事が出来る
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記事の冒頭に「Defense-News」が、自社の見解ではないと注釈を加えたのは、RANDレポートのアピール姿勢が前面に出ているからでしょうか? または、アフガン女性特殊隊員の課題や問題点への言及が不十分だからでしょうか?
いずれにしても、アフガンや中東のような不正規戦エリアで、女性が不可欠だとの指摘は十分理解できますし、メディアを通じてのアピールで、優秀な人材が集まることを期待致します
この話題を扱った過去記事
「ある女性特殊部隊兵士の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
特殊部隊というと、ヘリからロープで地上に展開したり、草を体にくっつけ身を隠して敵地奥深くに潜入するイメージを持つ方が多いかも知れませんが、ここで言う女性の特殊部隊兵士は、イスラム文化の中で多国籍軍の男性兵士による接触が難しい、イスラムの女性達と向き合う役割を担う女性兵士です
記事の中では、アフガン軍部隊と米軍特殊部隊の両方の女性兵士を同時に扱っており、中身の区別が難しいのですが、両軍の最前線でその役割の重要性が強く認識されていると紹介されています
26日付Defense-News記事によれば
●アフガンに展開する米軍や多国籍部隊は、特に保守的な地域や地方での活動が求められることが多いことから、アフガンの女性住民との接触が大きな問題となっている。そしてこの問題への対処策の一つとして、米軍や多国籍軍が女性部隊を編制し、女性住民との摩擦を軽減する策も採られてきた。
●ただ、米軍や多国籍軍の女性兵士に必要な文化や言語能力等を付与する十分な時間や手段が無い中、米国防省やNATO内では、これら即席の女性部隊の有効性について議論が続いてきた
●そんな中、アフガン特殊治安部隊の女性部隊は、その有効性が高く評価されている。この女性部隊は、男性が中心の特殊部隊が作戦する周辺で、文化や風習を理解して適切に女性住民と直接接触している。
●アフガン特殊治安部隊は約17000名で構成されているが、女性はわずか80名程度に過ぎない。その大部分は兵站支援任務に就いているが、約20名は前線の戦術小隊や情報部隊に所属し、特殊部隊の効率的任務遂行に貢献している
●例えば男性兵士が住宅を捜索する場合、女性や子供との接触が許されない場合が多いが、女性部隊の兵士はこれが可能で、女性に変装して身を隠す敵の捜索や、女性に対する情報聞き取りは大きな成果を上げている
●これらアフガン女性兵士の重要性は、国際社会やアフガン社会でも一般にはあまり認知されていないが、アフガン政府はこの重要性や有効性を理解しており、問題が持ち上がった地域への派遣が直ぐ議題になるほどである
NATO「gender advisers」の視点
●RANDによる調査では、女性兵士の勤務環境を改善する役割を持つNATOの「gender advisers」からも聞き取り調査を行い、彼ら彼女らからも女性特殊部隊兵士が大成功を収め、地域社会との接触が必要な場面で不可欠な存在になっているとの証言を得ている
●アフガン部隊での女性兵士増強の課題は、女性の募集能力にある。これはアフガン治安機関の募集部署が担当するが、適切な人材の確保はこの部署にかかっている。また女性兵士の生活インフラ、女性への差別やセクハラ問題なども課題で、「gender advisers」がアフガン軍と協力して対応している
●2015年10月、オバマ大統領は米軍特殊部隊をシリアに派遣する命令を出した。対ISIL作戦のためのこの指示は、文化面で異なる米軍男性特殊部隊兵士にとって、人口の半分を占める女性との関係で困難を与えるだろう
●しかし、このアフガンの教訓を活用し、更に米軍の全ての職域が女性兵士に開放されたことも追い風に、文化面や言語能力を備えた女性兵士がアフガン以外でも活躍する機会を得るだろう
●米国防省は、昨年RANDがまとめたレポートで指摘した、文化的保守的エリアでの米軍特殊部隊と女性の協力に関する制度的アプローチを参考にする事が出来る
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記事の冒頭に「Defense-News」が、自社の見解ではないと注釈を加えたのは、RANDレポートのアピール姿勢が前面に出ているからでしょうか? または、アフガン女性特殊隊員の課題や問題点への言及が不十分だからでしょうか?
いずれにしても、アフガンや中東のような不正規戦エリアで、女性が不可欠だとの指摘は十分理解できますし、メディアを通じてのアピールで、優秀な人材が集まることを期待致します
この話題を扱った過去記事
「ある女性特殊部隊兵士の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27