
初号機の納入が遅れている大きな原因とされる5つの重大不具合(FAAからのsupplemental type certificateが遅れているとの説明もある)が解決されたとの知らせがない中で、なぜ受け側航空機の承認が出来るのか不思議ですが、まず5大不具合を簡単に復習しておきます

●映像装置の不具合で受けて航空機にひっかき傷を生じさせる事象が頻発している。上記映像装置の改良で対応予定
●ドローグの機械的ロックシステムの不具合。給油中に外れることがある。これに対してもボーイングはソフト対策で対応予定
●給油のため相手と接続中に、給油装置操作員が意図せず誤って給油ブームに負荷をかけ、相手機を押さえつけることになっても、警告が出ない問題
●もう一つは、受け側機が給油機に接近する段階で、給油ブームがあまりにも固着している(too stiff)という問題
以上の最重大レベル「category-1不具合」の解決が見えない中ですが、受け側航空機承認の第2弾「 Phase II」の最後の航空機であるF-15Eが承認試験を終了したようなのでご紹介しておきます
4日付米空軍協会web記事によれば

●このF-15Eを含め、にこれまで同承認を受けたのは、A-10, B-52, C-17, F-16, F/A-18, とKC-135の7機種である
●ボーイングの担当副社長は、「これにより、来年実施予定の Initial Operational Test and Evaluation試験」の準備が整ったと語り、これまでに3700飛行時間で400万ポンドの給油が行われたと成果を強調した
●一方で、2019年に開始される予定の機体承認の第3段階「Phase III」の11機種に、どの機種が含まれるのかは明らかにされなかった
●また、KC-46Aが対象にする航空機の中で最も機数が多くなる予定のF-35については、恐らく2020年になるであろう「Phase IV」まで含まれない点は確認された
●F-35が第3段階「Phase III」の11機種に含まれない理由について同社は、KC-46もF-35も開発段階が終了していないため、2つの機種のマッチングについては双方が良い状態になるまで承認試験実施を決定しないと述べた
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それにしても、KC-46は優等生だと思っていたのですが・・・・残念です。
成熟技術だと考えていた給油ブームあたりにトラブルが集中していることからすると、成熟部分だからと最新技術で置き換えようとしたらマッチしなかった・・・という最新技術の過信があったのかもしれません
米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1
「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15
「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21